最近の流行と言いますが、主流になりつつある保管方法として粉骨(遺骨を粉状にする)という方法があります。昔から海洋散骨用に遺骨を粉状にすることはありましたが、最近では納骨しないで粉骨し、遺骨は自宅で保管している方がとても多いことを知りました。
遺骨は自分で粉骨することできますが、専用の道具が必要だったり長時間に渡り身内の骨をコツコツ叩く過酷さからほとんどの方が専門業者に依頼しています。
遺骨を粉状にするメリットとは?
一昔前では衝撃的ですが、冷静に考えると粉骨することはメリットの方が多いような気がします。
遺骨のカサが減る
一般的な遺骨量は75歳前後の男性で2kg~2.5kgほどあるそうです。関東などの標準サイズの骨壺7寸壺にパンパン量です。もっと高齢者になると7寸壺に半分くらいしか入ってないときもありますが、65歳くらいだと逆にぎゅぎゅっと押し込まないと全部入らない時もあるくらいです。
遺骨を粉骨すると個体差はありますが、体積で約1/3程まで小さくすることができます。あの大きな骨箱が小さくなることで、引き出しなどにも収納できるようになりますので、地震の際に骨箱が倒れて遺骨が飛び散るといった悲劇を防ぐことができます。
またやはり、見た目も小さくなるので「何とかしなくては」といった感覚から解放されますね。
いつでも散骨できる状態になる
遺骨が粉状になっているということは、見方を変えればいつでも散骨ができるという状態になります。自分の健康状態が急変してから慌てて散骨しようと思っても時間が間に合わないかもしれません。遺骨を粉骨しておくことでイザッ!と言うときにすぐに散骨できますので安心感が半端ないです。状況によっては海に撒かずとも、自宅の庭にだって撒くことができるのですからこれほど安心なことはありません。
遺品として残しても事件化しない
一人暮らしの方などは、万が一ご自身が急死してしまった時の事も考えておかなければいけません。事実、孤独死住宅から遺骨が出てくることはとても多く、遺品整理業者の悩みの種になっています。
ちゃんとした専門業者に粉骨を依頼すると粉骨証明書を作成してくれますので、遺骨と一緒にしまっておけば自らの死後、事件化することはまずありません。
遺骨にカビが生えない
遺骨を粉骨すると飛散防止に真空パックにしてくれます。この状態であれば空気を遮断できますのでカビが生えることは99%ありません。そもそも遺骨は成分の大半がカルシウムとアパタイトですので栄養はありませんので空気さえ遮断してしまえばカビは生えないのです。こんな安心はありません。
それからこの真空パックにするという行為は別のメリットもありまして、万が一地震などが起きたときに遺骨が飛散することを防止できます。実際、東日本大震災の時は自宅にあった骨箱が転倒し、中にあった遺骨が飛散してしまい、収集するためにやむなく掃除機で吸い取ったという方がいらっしゃいました。真空パックにしておけばこういった悲惨な事後処理をしないで済みます。
遺骨を粉状にするデメリットとは?
形が残らない
焼骨とはいえ頭蓋骨や顎の骨などがはっきり残っていることがあります。骨壺を開けるとポンと置いてあるのでじっと見ていると輪郭などから故人を思い出すことができます。遺骨を粉骨してしまうとこういった形状が消えてしまいますので寂しさが増してしまうかもしれません。
ですので形状が残らない事に違和感を覚えた方は無理に粉骨せず、そのままの形状を維持しておいた方が良いと思います。
納骨の時に「え?」という顔をされる
お寺や霊園に納骨しようとして遺骨を持参した際に、あまりにも小さいので「え?これだけですか?」みたいな顔をされることがあります。特に沖縄や新潟などは骨箱が40cmくらいあって大きいのが普通なのでびっくりされると思います。
総合評価
遺骨を粉骨することは総合的に見てメリットの方がはるかに大きいです。これからはお墓を建てずに自宅で保管する方が多くなると思いますし、そうなった時にあの大きな骨箱で置いておくよりかは粉骨して小さくしておくことで他の家族への配慮にもなるし、何よりも災害時などの安心感が増します。ゆくゆく海洋散骨するもよし、自治体の合祀墓に申し込むにせよ粉骨してると安いですからお得です。とてもお勧めです。