宗教法人が売買されている!という事が話題になりニュースになっていましたので、今日はお寺の事情についてお話したいと思います。最初に断っておきますが、全ての宗派に精通しているわけではございませんので、あくまでも私が携わっている葬儀関連のお寺やお坊さんから聞いた話です。
多くのお寺は存続の危機に陥っている
私の知っている限り、確かに多くのお寺は存続危機に陥っています。その多くは地方の檀家数が100以下の小さなお寺です。
檀家制度とは?
檀家制度というのは元祖サブスクリプションみたいなもので、檀家さん達が年会費を払って1つのお寺を維持するというような仕組みです。仮に年管理費が1万円だったら100件の檀家さんがいますからお寺の年収は100万円です。まずこれがベースにあります。
そのうえで、お盆やお彼岸などで法要があるとお布施をもらったり、お寺で法事をした際に仕出し屋さんからお礼(キックバック)を貰ったり、お墓を建てたら石材店からお礼を貰ったりと細かい雑収入で総合的に運営してゆくのです。ですので檀家さんという分母が大きければ大きいほどお寺の経営は安定します。
1つの指針として地方の小さなお寺の場合、質素倹約に努めてるお坊さん1名であれば200名程度の檀家さんがいると割としっかり運営ができます。何せ非課税ですから。
檀家離れというよりか、檀家消息不明
昨今取り沙汰されている「檀家離れ」とはすなわち、檀家を辞めて去って行く人達のことを指しますが、実際のところ墓じまいをしてきちんと離檀してゆく檀家さんは少数派です。
多くの場合は継承者が途絶えて連絡が付かず、檀家さんが行方不明ということの方が多いと思います。ある自治体のポイント調査では無縁墓は5割を超えており、これと全く同じかそれ以上のペースで地方のお寺では檀家さん行方知れず状態が加速していると思われます。
お寺にとって檀家さんと連絡が取れないということは収入が減る事になるわけですからそれは必死で継承者に連絡します。毎年はがきを送って電話して・・・そんな努力も空しく年々檀家さんが減少し続けているのが現状のようなのです。
理不尽な集金制度に嫌気?
そもそも檀家制度というのは遡ること安土桃山、まだ戸籍制度が無かった時代に織田信長が村民達の家族を把握するために地域のお寺に名前を書かせたというのが始まりと言われています。この時代はお墓やお寺を維持するにもお金がかかるので、寺は村民が協力して支えよという意味もあったのだと思います。
そんな古いシステムも昭和の中頃まではなんとか支持されていましたが、急激に進んだ少子高齢化で継承者不足がジワジワと進行し、お墓ブームも終わって市民達は次々と寺院から離れていったのだと思います。
そんな中、思考回路が昔と変わらぬお寺側から「住職の息子が結婚したので新居費用として各自30万づつ持ってくるように」など、理不尽な要求を突きつけられたりして一気に離檀が加速したのでは?とも言われています。本当かどうかは判りませんが、似たような話はしょっちゅう聞きます。
檀家が減少したお寺はどうなるのか?
檀家数が減少するとお寺は収入が減って運営を維持できなくなります。100を切ったらアルバイト、50を切ったら再就職と言われ、実際そんな感じになってるお手も多いです。地方では次々に廃寺になり、1人の住職が3つも5つもお寺の名義を掛け持ちしている事も珍しくはありません。
こうなると直轄管理もできなくなり、修繕もされず途方に暮れた隙を突いて、定年退職した会社員や管理会社など様々な人達が宗教法人の美味しい蜜に群がって集まってきます。この状態になるとお寺としてはほぼ末期状態だと思います。
宗教法人の売買は本当に行われているのか?
日本の法律では新たに宗教法人を設立することはほぼ不可能ですから、宗教法人を欲しがっている人達は大勢居ます。なぜ欲しがるのか?それは非課税枠が大きいので大半は脱税・・・あいやいや節税が目的なんだと思います。
売買で狙われるのは檀家さんの少ない、宗派組織に属していない単位寺と呼ばれる小さなお寺でしょう。宗教団体の抱えていた借金を肩代わりしたり、檀家さん達を取り込んだりしてあの手この手で実質支配します。
霊園開発はオワコン
私も実際に宗教団体の実印と口座を手に入れ、霊園開発に挑んだ方とお仕事をしたことがありますが、その方は高度成長期のお墓ブームを経験して「霊園開発は儲かる!」と思い込んだのでしょうね。
がしかし、何億もつぎ込んで蓋を開けてみたけど全然売れない。オープンして数件は売れたけど、当初予定していたあっという間に完売御礼状態にはほど遠い状態で、毎日やけ酒飲んで、最近は全然霊園に行ってないようです。
実際はそんなもんです。もう霊園開発はちっとも美味しいビジネスではありません。

威勢良く売り出してはみたものの・・・
今後の檀家制度ってどうなるの?
地方は先祖意識が強いので根強く残る可能性はありますが、都心部においては檀家制度というシステムは崩壊すると思います。現在70歳以上の方々は維持すると思いますが、その下の世代は次々と離檀してゆくでしょう。事実、ここ数年の墓じまい件数は鰻上り状態ですし、墓石屋さんは墓じまい専門店に鞍替えしてるような状態です。
お寺は一刻も早く檀家制度という古いシステムから管理費という明確な目的をもったビジネスに切り替えてゆかないと存続は難しいと思います。

